20.01.2014 - Education Sector

教育が導く持続可能な社会の実現

- ユネスコの気候変動教育に関するパネルディスカッションにて。左から敬称略でジュリア・ハイス(ユネスコ)、オスマン・マホメッド(モーリシャスMID委員会)、レ・トロン・ハン(ベトナム教育訓練省科学技術環境局)

世界各国にとって、持続可能かつ災害にも強い強靭な社会の実現は、これまで以上に重要な課題となっています。こうした中、ミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)の達成期限である2015年以降も社会の革新を進めるにあたり教育が担う役割に注目が集まっています。この教育の重要性を示すべく、第7回Sustainable Development Goals (SDG)に関するオープン・ワーキンググループの一環として1月10日、米国・ニューヨークにおいて、ユネスコ、ドミニカ共和国、モーリシャス共和国の主催による「持続可能な開発のための気候変動教育」(CCESD: Climate Change Education for Sustainable Development)に関するパネルディスカッションが行われました。

ヴィベーク・ジェンソン ユネスコ・ニューヨーク事務所長は開会挨拶で、以下のように強調しました。「気候変動に立ち向かうには、人類の一致した行動と自覚が不可欠です。具体的には、これまでの考え方や態度を改めるとともに、持続可能性を省みない消費行動や生産活動を再考する必要があります。また、若者に対し、グリーン・ジョッブ(環境にやさしい職種のための教育と訓練)を提供することも求められています」 

パネリストの一人で、ドミニカ共和国において気候変動及びクリーン開発メカニズムに関する評議会の委員を務めるダニエル・アブレウ氏は、こう述べました。「すべての人々が気候変動問題の解決に貢献する能力を身に付ける必要があります。学校や教育制度こそが、この変化を促す装置ではないでしょうか」。 ドミニカ共和国では400人の教員に研修を通じて、わずか1年の間に2万人以上の生徒に気候変動教育を行うことに成功しました。 

子供たちに持続可能な姿勢や態度を身につけることに成功した同プログラムは、その他の中南米諸国からも注目されています。「気候変動の諸問題について知るだけでは、何の解決にもなりません。我々は解決策を求めているのです」と、アブレウ氏。同プログラムの次なる目標は、2015年までに、さらに4000人の教員に同研修を実施することです。2014年、ユネスコは同様のプログラムをキューバで立ち上げます。 

ベトナム教育訓練省科学技術環境局のレ・トロン・ハン局長補からは、官民連携の事例が紹介されました。2013年、ベトナム教育訓練省とユネスコおよびサムソンは、持続可能な開発のための教育に関する連携事業に着手しました。「ベトナムでは、ESD実施の鍵は地域コミュニティにあると考えています」とハン氏は述べます。同事業がeラーニングを用いた教員研修コースの開発に留まらず、より幅広い学校コミュニティ関係者を対象として展開されている理由です。このアプローチは、コミュニティ自らがESDに関する活動計画を策定することを可能にし、すでに5つのコミュニティにおいて実施されています。 

ネパールのサノ・サンサー・イニシアティブ及びプラント・フォー・ザ・プラネット元代表のサガール・アリヤルは、気候変動に対する若者の行動力に注目しています。「プラント・フォー・ザ・プラネットでは、なぜ地球を救う必要があるのかだけではなく、どのように救うのか。また、いかに資源を賢く使い、どのようにプラスチックの使用を削減するのか教えています」。 プラント・フォー・ザ・プラネットは「語るよりも植えよう」の信念の下、現在世界40カ国380のアカデミーの運営を通じて活動を行っています。2007年のプロジェクト開始以来、28,000人の子供たちが128億1033万7277本を植樹しています。アリヤル氏は、2020年までに100万人の子供たちによる1兆本の植樹の達成を表明しました。 

島国であるモーリシャス共和国は、自らの国家を持続可能な開発のモデルとすることを国策として推進しています。実施計画を定めたThe Maurice Ile Durable (MID) 政策では、持続可能な開発を政策の中心に据えるための5本柱の一つに教育を挙げています。こうした中、モーリシャスは2012年にユネスコの気候変動教育プログラムのパイロット事業を実施、2020年までに全ての国民がMID政策を理解し、国際的に認知された持続可能な開発拠点となることを目指しています。 

しかし、MIDに関する委員会で座長を務めるモハメド・オスマン氏は、同政策の実施に向けた政治的支援は重要ではあるものの唯一の成功要因ではないことを強調し、次のように話しました。「この目標を実現するための課題は、全ての人々が持続可能な未来を創りあげていく責任を自覚し、自ら担っていく力を養うことにあります。そして教育こそが持続可能な未来を展望する社会の形成を先導するものであると我々は信じています」 

日本ユネスコ国内委員会の加藤重治事務局長は、日本の声明を発表する中で、2014年11月に愛知県名古屋市で開催されるESDに関するユネスコ世界会議の重要性を訴えました。「この世界会議は、単なる教育分野に関する会議ではありません。これは教育の再構築を議論する極めて重要な場となるのです」。同氏は、ポスト2015年開発目標において、教育が重要な要素であることも強調しました。 

ESDに関するユネスコ世界会議では、2005―2014年の国連持続可能な開発のための10年 (DESD: Decade of Education for Sustainable Development)に続くプログラムとして、「ESD実践のためのグローバル・アクション・プログラム」の発表が予定されています。




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